2009年7月6日月曜日

第15回WI2研究会 2日目セッション4「Webサービス」

お昼は市立大学の人たちと例のオープンしたてのパン屋で食べました。
日曜日なのでお子ちゃま多数<笑

WI2もこのセッションで終わり。
非常にためになる研究会でした。

===============
■学術研究プラットフォームのサービス提案
岡本さん

・YahooJapanで10年勤務
学術成果のプラットフォームを作りたいと考えるようになった。
・問題意識
インターネットの学術利用→ 専門分野の横断、研究者と市民の接続
  →メディアの限界
    →プラットフォームへの転換
学者や専門化がそれぞれ自分個人のウェブを管理し、最新の専門知識を競うように公開する時代が来れば良いと思う。
・基本コンセプト
  インセンティブデザイン=良い物を作れば作ってくれる→使わざるを得ない状況においていく
  ユーザビリティ=Web標準から遅れている
  アビリゲート=データを一元化しすぎると×(ブックマークはココ、ブログはアッチみたいな)サービスを取り込んでいく
  インテリジェンス&インタラクション!

・管理対象データの区分
  Relation=研究者同士の関連
  Event=研究会情報
  Task=TODO
  Output=上手く統合して行きたい
  Process=成果よりはプロセスをはっきり示すべきでは?

・インセンティブデザイン
  自分自身に関る情報を整理→機械的な学習も必要
  情報の発見
  労力の削減→各種申請書類フォーマットへの対応
  支援の獲得→プロセスの発表に対して、一般市民がDonateされる、Donateは謝辞や還元される
・課題
  持続性 ビジネスモデル的な問題
  商用利用禁止規定 
  依然クローズな基盤データ環境 APIを公開してくれない

質問1
プロセスを見せるのは面白い。研究者がサボってるかどうかもよく分かる。どう見せる?
  →Twitter的なもので良い。等身大の研究者像を伝える。意外と研究者のブログでも研究については発信されていないから。

質問2
財閥系からの支援が得にくい。どうやって儲ける?
  →ビジネスモデル的には難しい。当面は別の仕事で食っていく。透明な資金を集める。日本人は300万人の研究者がいる。学術産業をちゃんと立ち上げるべき。

質問3
国のやる仕事と民間のやる仕事は新しいところでレイヤーを引かないといけない。どのレベルまでやる事を期待している。
  →基盤データを作るのは国の仕事(営利ビジネスとは立ち行かない)NIIやJSTにはデータプロバイダーとしてやってほしい

■XMLデータベースを用いた柔軟なUGCサービスの提案
NTTサイバースペース研究所 榎本さん

・XMLデータベース
なかなか市場が広がらない。。。
  →蓄積して利用していく方向で広げていこう
モデルが違えば柔軟性も違う
  →ユーザ生成コンテンツ(UGC)を構造化できるんじゃない?
イベント情報の共有サービス
http://www.craigslist.org/
http://tokyo.kijiji.co.jp/

・提案の骨子
うまく使えば、メンテフリーなシステムが作れるんじゃないか?
  →テンプレートの利用
データの構造の異種性を超えられるんじゃない?
  →自動レイアウト

質問1
新しい項目を増やすと検索のフィールドも増えていくのは面白い。ただ増えすぎた場合はどうするの?
  →構造化をまずしてもらう。セットで使えるようなのをインテリジェントに求めるなどしたい。

質問2
スキーマの型は?
  →基本的にテキストしている。型の推測か、ユーザが定義するか、方法は考えている。

質問3
教育分野にて、大学生のシラバスに使えるのでは?
  →よく知らないのでまた教えてほしい

質問4
インタフェース周りがよく分からない。
  →ユーザがよく使うものは残り、そうでないものは淘汰されていく。スキーマの進化があるんじゃないか?
ボトムアップにできていくところは面白い。

■Pirka'r: ブラウザ間非互換問題を解決するWebデザイナ向けツール
三菱総合研究所 飯尾さん

・様々なブラウザで問題なく閲覧できるコンテンツ作成支援
ユーザ視点で問題を見つめなおしてみるべき。

・Web標準のコンポーネント
HTML、CSS、Javascritp
同じコンテンツでも表現や動作に違いが出る(becauseブラウザ戦争など)

・WaSPのアプローチ(伽藍方式):ブラウザベンダに注意
・バザール方式:問題のあるコンテンツを探して警告

・20万サイトを調査、142種類の非互換性(自動チェックできるのが)→3割のサイトに問題を発見
・原因の分析
  オーサリングツールの問題(HPビルダー)
  発注者側の意識 特定ブラウザだけ対応すりゃいいや
  作成者の意識 テストに工数をかけたくない
最近はWebブラウザも増えたし、携帯からのアクセスも増えた
  →支援ツールPirka'r http://pirkar.ashikunep.org/
  1.標準準拠チェック
  2.ブラウザ互換性チェック
  3.マルチブラウザ視認チェック
  ??チェックするだけ?修正候補は出してくれない??

質問1
コミッタになれそうな人はいるのか?
  →まずはJavaScriptでチェック。共同会社がひっぱってきてくれる予定

質問2
現場でWebデザインしているとIE6だと例外構造を出したりする必要がある。全部に対応しようとしている?それともばしっと?
  →前の方。

■飽きずに継続利用できる情報推薦の実現に向けた試み
中央大学大学院 稲村さん

・協調フィルタリングなどの既存の推薦手法は、ユーザが感じる「飽き」という感性的な側面まで考慮していない
  →「飽き」を感じる感性モデルを明らかにする
お弁当の献立作成をモデルにする!
メニューの固定化。マンネリ化。。。

・お弁当
複数のおかずからなる
  素材
  味 五味五色五法
  色
  素材
お弁当を特徴ベクトルで表現する
  おかずID(素材ID、味ID、色ID、調理法ID)
今回は素材IDのみに着目

・素材IDの類似度をcos角度で求める=マンネリ度
ガウス関数:間隔が短いとマンネリ度を感じるが、長いと感じない
シグモイド関数:ある程度似たものが続いてもマンネリを感じないが、あまりに際限なく続くとマンネリを感じる

・評価実験
提案モデル→最初の頃は累積データが少ないので過敏な結果になったが、割と近似できた
  被験者によってマンネリの感じ方は大きな差がある
  おかずによってマンネリ度に与える重みも違う
  お弁当の色の変化もマンネリ感に影響を与える

質問1
マンネリが減っていく方のモデルは?次にカレーを何時出すか?
  →マンネリを感じさせないところは調べられたけど、次においしく食べれるときの検出はしていない。

質問2
評価実験って実際に食わせてます?
  →見せただけ

質問3
何故、お弁当を選んだのか?
  →弁当作りの得意な子がいた
これはお弁当作成支援システムなのか?
  →そう

■街メタファを用いたブックマーク整理支援システムの開発
東京農工大学 田端さん

・ソーシャルブックマークサービス
ユーザがブックマークの整理を積極的に行わない → 無秩序化
(↑整理作業に動機付けがないから)
  →整理作業にゲーム性を与えて動機付けにする!

・街メタファの導入(都市建設シミュレーション:シムシティ)
  都市を発展させながらブックマーク整理
ブックマークをドラッグし、その種類を選択(スポーツ、経済など)→スタジアムのアイコンがたつ
  →関連性の近い建物が集中するほど発展する
    →発展するとビルになったり、あばら屋になったりする。
建物がそれぞれベクトルを持ち、距離に応じて計算を行う→発展度
  最終発展度と比較して、発展度が高ければ発展!低ければ衰退。。。

どのような配置が、整理された状態か?実際に作ってみた!
  旅行サイトの集合とポータルサイトの集合に分かれた。
  天気と旅行サイトは近かった。

質問1
背景に地図を持ってくる意味がよく分からない。街の区画をはっきりさせた方が見易くないか?
  →今作ってる最中で、今後検討する。

質問2
ポータルサイトなんかは持ってるデータが多様すぎる。クラスタリングすると二次元平面上への表現が難しくないか?
  →区画というもので対応したい。
ユーザがインタラクションして、何となく位置を決めるだけなのか?グループウェアに拡張する?
  →する予定で居る。
===========

「飽きずに継続利用できる情報推薦」ってのはうちの研究室の先輩がやってるのにちょっと似てるかも。
先輩がやってるのは、「飽きる前にユーザの興味の揺れを感知して、新しい興味に振り向ける推薦」
……うーん、解明しようとしている内容は違うけど、ゴール的には一緒なのかな。
後で見せよう♪
この研究室ではこのテーマを今後深めていくらしいので楽しみ。
きちんと覚えておこー!

Pirka'rは結構面白そう。
推奨コードの提示機能までついてるのは、CSSに然程詳しくない身としてはかなり嬉しい。
ちょうど研究紹介サイトを新しく作り直さないといけない所だったので、ぜひぜひ使わせてもらおうと画策中♪

街メタファの導入については、品川先生の研究室の学生さんだったので、後で品川先生と話す機会があったときにちょっと疑問に思ったところを聞いてみた。
「これ初期投資が大変じゃないですか?」
そう、やってることは面白そうなんだけど、なんか最初に配置させる作業が面倒くさそうなんだよね。。。
品川先生曰く、デフォルトの配置などを提供できたら良いが、そのための理想的なデフォルト配置の情報もまだ足りない。まずは基礎的なデータを集めて行く事が必要とのこと。
あとビジュアルももうちょっと……、被験者実験前にアイコン画像が粗いのを何とかしたら、大分結果に反映されそうだなぁ。
まだまだ先は長そうなので、がんばって欲しいです。

これにてWI2の発表は全て終了。
みなさまお疲れ様でした!!

0 件のコメント: